「発達が気になる」と思ったとき。ママが最初に整理したいこと

色鉛筆で絵を描く子どもの手元のイメージ 発達・子育て
Photo by Kelly Sikkema / Unsplash

「もしかして、うちの子は発達に何かあるのかな」

そう思ったとき、ママは急にたくさんの情報を探し始めるかもしれません。検索すると、発達障害、ASD、ADHD、学習障害など、いろいろな言葉が出てきます。

読めば読むほど、「これも当てはまる」「あれもそうかも」と不安になることもあります。

そんなとき、最初に診断名を決めようとしなくて大丈夫です。まずは、その子がどんな場面で困っていて、どんな場面なら過ごしやすいのかを見ていくところから始めます。

「特徴」ではなく「困っている場面」を見る

たとえば、「落ち着きがない」という一言だけでは、状況はよく分かりません。

どんなときに動き回るのか。長く待つときなのか、説明が分かりにくいときなのか、音や人が多い場所なのか。好きなことをしているときはどうなのか。

「忘れ物が多い」「友達とうまくいかない」「切り替えが難しい」「宿題にとても時間がかかる」といったことも、場面や頻度、本人の困り感まで見ていくと、支援の手がかりが増えます。

家と学校で様子が違ってもおかしくない

家では困っているのに学校では問題ないと言われることもあります。反対に、家では落ち着いているのに学校ではしんどそう、ということもあります。

環境が違えば、求められることも、刺激の量も、人との関わり方も違います。だから、どちらかが「見間違っている」と決める必要はありません。

家庭と学校それぞれで、どんな場面が難しく、どんな工夫があると過ごしやすいのかを持ち寄ることが大切です。

メモするなら、できなかったことだけを書かない

相談するときのために記録を取るなら、「困ったこと」だけでなく「うまくいった条件」も残しておくと役立ちます。

  • 何が起きたか
  • その前に何があったか
  • どのくらい続いたか
  • 本人は何と言っていたか
  • 大人がどう関わったか
  • どんな工夫をしたら少しうまくいったか

こうした情報は、子どもを評価するためではなく、「どうすれば暮らしやすくなるか」を一緒に考える材料になります。

相談は、診断を受けると決めてからでなくていい

「病院に行くほどなのかな」と迷って、相談を先延ばしにしてしまうことがあります。

でも、相談は診断を受けるためだけにするものではありません。学校の養護教諭や担任、スクールカウンセラー、自治体の子育て相談、教育センター、発達障害者支援センターなど、地域にはいくつかの入口があります。

国立障害者リハビリテーションセンターの「発達障害情報・支援センター」では、全国の発達障害者支援センターを案内しています。厚生労働省も、各都道府県・指定都市の発達障害者支援センターで、本人や家族への相談支援、発達支援、情報提供などを行う仕組みを示しています。

「何に困っているのか、自分でもまだ整理できていません」と伝えても大丈夫です。整理するところから相談は始められます。

「親の関わり方が悪い」と考えなくていい

子どもの行動がうまくいかない日が続くと、「私の育て方のせいなのかな」と思ってしまうことがあります。

でも、支援で大切なのはママを責めることではありません。子どもの特徴と環境の組み合わせを見ながら、分かりやすい伝え方、見通しの持たせ方、ほめ方、課題の量などを調整していく考え方があります。

その一つがペアレントトレーニングです。国内の系統的レビューや実践研究では、発達障害のある子どもの保護者へのペアレントトレーニングについて、親子双方への効果を検討する研究が積み重ねられています。一方で、対象や方法によって効果の評価には違いがあり、誰にでも同じプログラムが合うという意味ではありません。

「もっと頑張って上手に育てる訓練」ではなく、子どもの行動を少し理解しやすくし、ママの負担も減らすための支援の一つ、と考えるとよいと思います。

相談を考えたい目安

発達の特徴があるかどうかだけでなく、本人や家族の生活にどのくらい困りごとが出ているかも大切です。

たとえば、

  • 学校生活で強い困り感が続いている
  • 本人が「自分はダメ」と強く自信をなくしている
  • 友人関係や学習でつまずきが続いている
  • 家庭での対応が毎日とても苦しくなっている
  • 不登校、強い不安、睡眠や食欲など心身の変化も重なっている

といったときは、一度相談先につながってみる価値があります。

相談窓口が分からないときは、「困ったときの相談先」も見てください。

ママに伝えたいこと

発達が気になり始めた頃は、子どもの行動が全部「症状」に見えてしまうことがあります。

でも、その子には、困っている場面だけでなく、好きなこと、得意なこと、安心できる人、うまくできる環境もあります。

「何の診断なのか」を急ぐより、「この子はどんなときに困って、どんなときには少し楽なのか」を見つけていく。そこから支援は始められます。

ママも、全部を一人で観察して、勉強して、正しい対応をし続けなくて大丈夫です。分からないところは、分からないまま誰かと一緒に考えていいのです。

参考にした主な資料

国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害情報・支援センター」(2026年9月確認)

国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害者支援センター・一覧」

厚生労働省「発達障害者支援施策の概要」

山口穂菜美・吉本茜・原口英之「我が国における発達障害のある子どもの親に対するペアレントトレーニングの研究動向――系統的レビューによるアップデート――」行動分析学研究36巻1号

井上雅彦・山口穂菜美「発達障害に対するペアレント・トレーニングの地域実装と課題」発達障害研究45巻3号

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